自由が丘から一駅 緑ヶ丘駅から徒歩1分のところにある洋菓子店”Numéro 5 Paris(ヌメロ サンク パリ)”。
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お店はまるでスタジオの様に洗練されている。カフェスペースからキッチンを見渡すことのできるオープンな設計になっている。作る姿を見せることはお客様を楽しませることができるが、逆にお客様の前で失敗の許されないことから、その腕に自信がなければできない。
陳列されたお菓子は、パッケージからお菓子の出来栄えまで一つ一つ丁寧に作られまさに芸術品の様な仕上がりとなっている。
今回は、そんな洋菓子店Numéro 5 Paris(ヌメロ サンク パリ)を特集する。
ものを作る家庭環境から若くしてパティシエの道を選ぶ
「父は大工で、私自身も子供の頃からそんな父の”手を使う仕事”を手伝っていました。工場は広く、木の匂いや手触りなどに感動して、”ものを作ること”ということは自分にとって特別なことになっていました。」
そう語るのは、Numéro 5 Paris(ヌメロ サンク パリ)のオーナー マチュー パンソン氏。
「母もお菓子づくりを家でやっていたことから、大工と同じで、小麦粉から作り上げたり、いい香りがするとかそういったところがお菓子への興味をひくところでした。色々考えたのですが、特に食べることが好きだったので15歳から料理を志そうと考えました。」
マチュー氏は、15歳からフランスの料理の専門学校で2年勉強。料理を中心にデザートなどお菓子の勉強も実施していたのだという。
「17歳になり、さらに自分の腕を磨きたいと考えパリに行きました。そこでは、料理ではなく本格的にパティシエとしてケーキの専門学校で勉強し、パティシエとしての資格を取得しました。」
「料理はシェフが味見をして、塩加減やもう少し煮た方が良いとか、とてもセンスが必要と感じました。お菓子作りはその点、レシピをきっちり作る側面もあり、一人で勉強できていたこともあったので料理よりも簡単だと思っていました(笑)。実際はやってみると、作っている時間とか温度や湿度で味が変わってしまうなど、お菓子作りは深く難しいものでした。」
フードスタイリストとして”魅せるお菓子作り”の世界へ
資格取得後、パティシエとして数年勤務。その後、フードスタイリストとして”魅せるお菓子作り”の世界へ踏み込むこととなる。
「知り合いの紹介でフードスタイリストの会社を知ることとなりました。その時、会社の雰囲気やデザイナーの方の生活や趣味を見てパティシエと似ていると思い興味を持つようになりました。」
「フードスタイリストの仕事自体は当時全く知りませんでした。一回やって見てレストランに戻ろうと思いました。やってみると、フードスタイリストは撮影や見た目が重要で、味は関係ないという感じで、ちょっと微妙な仕事だと思いました(笑)。けれど、やっているうちにカメラとか見せ方で、お菓子がもっと綺麗に見えることが楽しく思えるようになっていき、4年も続けることになりました。」
フードスタイリストとパティシエは全く違う。味と見た目の作り方は違う世界であり、マチュー氏も改めてフードスタイリストとしての勉強をしたという。
「撮影の時は、本物ではなく偽物を使うことがあります。アイスクリームを撮影する際は、アイスではなく、バタークリームを使ったりします。バタークリームをアイスに見えるように生地を作ったり、綺麗に撮影できるようにお菓子を何度も作ったりしていました。」
渡日そして、ピエール・エルメ・パリ・ジャポンでの貴重な経験
「海外での経験を積みたいという思いからいつか海外にでていこうと考えていました。海外のリストを作った時、違う国に行きたいと思っていて、日本は一番下の方の国でした。」
そんな中、フランスで勉強していたころ、日本の専門学校の学生の研修に関わることとなった。マチュー氏の作るお菓子を丁寧に作る日本人をみて、日本人の勤勉さや真面目さに驚いたという。
「当時は日本人がどういう人か知らなかったのでとても意外でした。フランス人は結構テキトーだったりするので、ここまでコピーできることはすごいと思いました。」
その後、日本の専門学校のオーナーに日本で講師のオファーがくる。
「オファーの前に日本に旅行に行っていました。その時に感じたことは日本はとても綺麗で住みやすそうなところ。縁もあったことや日本で住んでみたいという思いが強くなり渡日することになりました。」
日本で数年講師を経験後、中目黒にあるグリーンビーントゥーバーチョコレートを立ち上げ、そしてその後、ピエール・エルメ・パリ・ジャポンでシェフパティシエとして経験することになる。
「大手のお菓子屋の仕事のやり方を知りたかったということと、何と言ってもピエールエルメの世界観を学べることがいい機会だと思いました。ピエールエルメの素晴らしいお菓子に携われたことは自分にとっても大きな影響を与えています。」
自分の経験をフルに活かすためにお菓子屋を開業
「これまでの自分のパティシエ、フードスタイリスト、講師としてお菓子作りを教えることなど、全てをフルに活かすことはできないかと考えるようになりました。」
非常に多彩な経験を持つマチュー氏。お菓子屋やフードスタイリストの会社では、一日中一つのジャンルでしか自分のスキルを活用することができない。
「自分の幅広いスキルを活用するには、今までにないお菓子屋の形態で開業するしかないと考えました。お菓子を作ったり、ワークショップの中でお客様と話したり、商品企画のコンサルティングを行ったり、そういった幅広いスキルを包含したコンセプトを持った自分のお菓子屋を作ることにしました。」
”Numéro 5 Paris(ヌメロ サンク パリ)”の由来
「”Numéro 5 Paris(ヌメロ サンク パリ)”は、フランス語で”5番地”を意味します。」
Numéro 5 Paris(ヌメロ サンク パリ)は、彼の原点を意味する。
パリ郊外にある小さな街の5番地。マチュー氏 が生まれ育ったその街は、緑豊かでたくさんの花が咲き、歴史深い街並みが残る美しい街。子供の頃の記憶として、母が作ってくれたお菓子は、今の彼のルーツ。いつしか彼は自分でもお菓子作り始め、食べる人の笑顔が見たいという思いを抱いたのだという。
「普通のお菓子屋は白いイメージや美味しいそうで甘いイメージが強いと思います。けれど、Numéro 5 Paris(ヌメロ サンク パリ)は、黒く、そしてエレガントなコンセプトを持っています。ただのお菓子ではなく、まさにファッション誌に載るようなお菓子屋なのです。」
見た目、味のバランスをとり完璧なお菓子を追求
「日本は季節があり、湿度や温度が全然違います。だからこそ、ベーシックなお菓子であったとしても最高の味を作ることは難しいです。」
「何十年もお菓子の勉強をしていますが、今でも失敗はします。味だけではなく、見た目もこだわってくると、当然作りかたも変わってくるのでバランスがとても重要になってきます。その中で、自分が認める最高のケーキやお菓子は作れたことはありません。」
「今後は、お菓子作りだけではなく幅広い活動の中でお店をもっと大きくし、自分の世界観を多くの人に伝えていければと思います。」
Numéro 5 Paris(ヌメロ サンク パリ)の焼き菓子を見るとその一つ一つに形・デザインまで非常にこだわりを感じられる。マドレーヌ一つとっても、ふっくらして普通のマドレーヌとは違う質感がある。
Numéro 5 Paris(ヌメロ サンク パリ)のお菓子を食べて一つ一つに”世界観”を感じて見てはいかがだろうか。
Numéro 5 Paris(ヌメロ サンク パリ)の紹介
[box title=”お店情報” box_color=”#B8860B”]店名:Numéro 5 Paris(ヌメロ サンク パリ)
住所:東京都目黒区緑ヶ丘1−23−10 2FC
定休日:月曜日・第1、3火曜日
営業時間:10:00〜18:00
*その他、ワークショップや完全予約のイベントなどはホームページにてご案内いたします。
*季節のケーキやパフェは土日祝日のみ
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