りんご王様・青森のりんごを広める挑戦者・タムラファームが届ける自然主義のりんご

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自然主義のりんご栽培にこだわるタムラファームは、タムラファーム株式会社が運営する青森県弘前市にあるりんご農園である。さらに、自社でりんごの流通・販売も行っている。

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「より健康的でおいしいリンゴを皆様にお届けしたい」そんな一心でりんごの生産から流通・販売までおこなうタムラファーム。農園を開始してからメディアがこぞって取り上げるりんごスイーツを作るまでのストーリーやりんご作りへのこだわりについて特集する。

“青森のりんごよりも他県の完熟したりんごの方が美味しい、お客様に言われて悔しかった”

“りんごの名産地といえば、青森”
そう思い浮かべるひとは少なくないだろう。筆者もその一人だ。
だが、青森・弘前にある青果市場でかつて働いていた田村氏はこう語る。

「青森のりんごよりも山形、長野、福島の方が完熟したりんごで味が美味しい、とお客様に言われることが多く、悔しかった。」

青森のりんごは完熟する前で出荷するそうだ。青森は他県のりんご産地と比較し、雪が少し早く降り始める。10月や11月でも収穫できるため、雪が降る前に早めに収穫してしまう。

完熟したりんごは日持ちがしない。そのため、完熟前に収穫し日持ちのするりんごを冷蔵庫に入れ他県とは時期をずらして青森は販売していた。

ただ、他県で収穫され流通しているのは完熟しているりんご。
それが同時期に市場に流通するため、市場には完熟したりんごが溢れている。

そこで青森のりんごと他県のりんごを比較されると、前述の通り「他県のりんごのほうがおいしい」と言われてしまう。

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“美味しいりんごを自分の手で流通させたい” リンゴ農園を一からはじめた田村氏の想い

お客様から”他県のりんごの方が美味しい”と言われ悔しい想いをした田村氏は、青森ブランドのりんごを墜落させたくないと考えるようになる。
次第にその想いは”美味しいりんごを自分の手で流通させたい”というものに変わる。

弘前の青果市場に入社8年で脱サラし、30歳の時に就農、現タムラファーム株式会社を興した。もともと農業従事者ではない田村氏は、周りにいる代々続くりんご農家を師と仰ぎ自身で一から農園を立ち上げる。

田村氏は当時の苦労をこう語る。
「農業の新規参入はリスクがありすぎると当時言われていた。しかし、周りがりんご農家なので先生がいっぱいいる中であるため、栽培上のリスクがないと判断した。

また、販売が結構大変だけど、自分で周った足で感じた「青森ブランド」は非常に根強いところがあったことからリスクはそれほど高くはないんじゃないかと思った。若気のいたりというところもあって思い切ってやり始めた」

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ただ、スーパーなどで販売できるようになるまで3年を費やしたという。
最初は、栽培で美味しいものを作るというところに集中し自分が食べても美味しい!と思えるようなりんご作りを徹底的に行う。

徹底したブランド意識と高品質のりんごを育てる極意

「より健康的でおいしいりんごを皆さまにお届けしたい」それがタムラファームのコンセプトだ。そのため、商品作りに関しては、「絶対に妥協をしない・完璧を目指す・品質保持を徹底する」を念頭に置いている。

品質担保へのこだわりも強い。
「りんごなどの青果物への品質基準はもともと定められているが、これはあくまでも安心である、という部分でしかない」と語る田村氏。

タムラファームでは、世界的に出せる品質基準を満たすようにしているという。

「農業分野では、事実上の国際基準であるGLOBAL.G.A.P.が普及しつつある。世界基準の農園管理が満たされていないこともあるので、その辺も今後は意識していき、品質も味も管理も万全であるようにしたい」と品質保持への意識の高さを語る。

また、自然主義でのりんご栽培へのこだわりもある。

土作りに力を入れており、肥料は自家製の有機肥料である。農園は、世界でも有数な栽培規模を誇る通称「宇和野」地区に10ヘクタールと、標高が高く、寒暖差が大きいためおいしいりんごができるといわれる岩木山のふもと、「弥生」地区に5ヘクタールを保有する。栽培は、りんごの実に日光が十分当たるよう、木と木の間隔を広くとって植えている。

最大のこだわりは、最も美味しくなる完熟する手前の段階まで収穫しない。こうする事で果肉が緻密で糖度の高いリンゴができる。

「りんごの美味しさは、「甘さ」と「酸味」のバランスと、 「食感」でほぼ決まります。 りんごは生ものなので、収穫後も、味・食感は変わります。 農園直送だからこそ、タムラファームは、 りんごの品種にあわせてイチバン美味しいタイミングで 皆さまのお手元にお届できる」と田村氏は語る。

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“添加物はできるだけ使わない”
これがタムラファームが周囲との差別化を図るために意識していることだ。よい素材を扱い、自分たちが一元管理(生産から加工、販売)することで、お客様に安心感を与えることもできると考えている。

「できるだけ手を加えず、シンプルなのに、よそよりも美味しい」

それがタムラファームが目指す、青森ブランドをさらに強固なものにするための極意である。

生のりんごだけではない。メディアがこぞって取り上げるりんごスイーツやジュース

美味しいりんごをお客様の元まで届けるために、生産から加工、販売まで一元管理であることにこだわるタムラファームは、りんご栽培だけでは終わらない。

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りんご栽培を続けていた田村氏は、ふと「アップルパイが食べたい」と思ったそうだ。また、りんご栽培は冬場は雪が降るため閑散期に入る。そのタイミングで生食としてのりんごだけでなく、りんごそのものの素材の味を生かした加工食品を販売することができれば、と考えていたと語る。

しばらくすると、弘前市が”りんごの街で、アップルパイのお店がいっぱいあると観光のPRで盛り上げよう”と打ち出し始めた。その時には、美味しいアップルパイを試行錯誤で制作していた過程だったという。

さらにアップルパイ商品化を実現するためのきっかけは、ある時、たまたま弘前に行った人が「アップルパイを食べたがいまいちだった」とネットで書き込みをしているものを田村氏は見てしまった。

そこで田村氏自身が美味しいと思えるアップルパイを、田村夫人中心に試行錯誤を繰り返し、やっと商品化できるまでに作り上げたところで弘前にある店で出品したみた。それが、とても評判がよかった。

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評判の秘訣について、田村氏はこう語る。

「ケーキ屋のアップルパイも真似したが、ケーキ屋のアップルパイはホールでも一切れ全部食べれない。シナモン、バターとかも入っていて重かった。私自身シナモンが得意ではないこともあり、シナモンを使わないアップルパイを作った。それが評判がよかった。」

アップルパイを皮切りに田村氏はほかにもりんご加工食品を手がけるようになる。

それは、シードルやりんごジュース、コンポート、コンフィチュールと幅広い。

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紅玉という品種を利用し製造しているアップルパイ「ローズ」

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シードルやりんごジュースも手がける。

東京・浅草への出店決意

もともと青森・弘前でりんご農園を行っていたがある時転機が訪れる。

りんごの生産だけでなく、アップルパイを始めとするスイーツやジュースなどの加工食品を生産・販売するようになり、東京の店舗への出店の誘いを受ける。

その地が浅草である。

「昔は台東区に住んでいた時期もあった。浅草とかも結構親しみがあり、下町のゆっくりした街が好きだった」

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浅草にある「まるごとにっぽん」内にあるタムラファームの店舗

美味しい青森のりんごを弘前から東京へ、東京から全国へ、全国から世界へ。
そんな想いでやってきた田村氏にとっては願ってもないオファーだったと語る。

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誘いを受けた時期は、新しいシードル工場を建設したりとタイミングとしては最適であったと言えなかった。だが、田村夫人のご友人の助けもあり、東京の店舗出店の決意を固めたと語る。

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まるごとにっぽんにあるタムラファームの店舗内

こだわりのりんごを今後も生産し続けたい田村氏の”晴耕雨読”なりんご人生

りんごの生産から流通・販売まで手がけるタムラファームでの田村氏の業務は畑と事務が半々になって来ているという。

田村氏はこれまで自身が本当に美味しいと確信できるものしか提供していない。そのこだわりと信頼からお客様の反応もずば抜けている。

「うちのファンは新しいものを出すと必ず買ってくれる。タムラさんところのものは何を食べても美味しい、と」

田村氏の理想は、今後もりんご作りに励み美味しいりんごを追求する人生だという。

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タムラファームの店舗紹介

店舗情報
店名:タムラファーム まるごとにっぽん店

住所:東京都台東区浅草2-6-7

定休日:なし

営業時間:10:00-20:00

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