長い長い梅雨がやっと明けた。

ぽかぽかのお日様の下でお洗濯物が干せる。
それだけで、充分に幸せだ!と、私の気分は上々だ。

けれど、
夜になるとふと小さな不安がこみ上げてくることが近ごろ多くなったように思う。
目に見えないウィルスは一向に落ち着く気配がなく、
このまま行けばこの夏は子どもたちと楽しい思い出を作れそうにない。

そんなことを考えてしまうと、
言葉にできないような感情を抱いてしまう。

そんな私の気持ちを察しているのかどうかはわからないけれど、
子どもたちが寝静まったリビング、
夫とのいつもの時間。

本日、夫が用意したスイーツは、
マスカルポーネといちごのロールケーキ。
コクのあるマスカルポーネクリームと甘酸っぱいいちごのクリーム、スポンジにもいちご。

なんとも贅沢で、
この時間には罪深き一品ではあるけれど「いただきます」と手を合わせ、
幸せの断面に躊躇なしにスプーンを落とし、一口頬張る。

きゅっとなった心もゆるゆると解けてく。


「わたし打ち出の小槌が欲しい!」

娘がふとこんなセリフをつぶやいたことを思い出す。
まだ4歳の女の子の口から「打ち出の小槌が欲しい」だなんて言葉が出てくるとは想像だにしていなかった。

「もっといっぱい妹が欲しい!そしたらいっぱい遊べるでしょ?」


2歳のころに妹が生まれて、
突然、お姉ちゃんデビューすることになってしまったお姉ちゃん

妹をかまっていると横からグイーッと膝の上に乗ってきたり
「食べさせて!」って口をあーんと開けて待っている

こりゃ、参った。
これが噂の赤ちゃん返りか・・・

そんな私の気持ちなどつゆ知らず
子どもたちは待ったなし。

生まれたての妹はお腹が空けば泣く一方で
「遊んで!」とかまってアピールを遠慮なく浴びせてくる。
自分がふたりいれば・・・


今となればそんな時期もあったっけ、なんて思うほど
「赤ちゃんじゃない!お姉ちゃん!」と、
いやはや張り切りモードへと大きく切り替え。

電話でお店の予約を入れていると
「大人ふたり、お姉ちゃんひとり、赤ちゃんひとり、って言ってね!」
と指示が飛んできて、流石に笑ってしまった。


きっと子どもって
いろんな時期を乗り越えながら大人へと成長してくのかもしれない。

お姉ちゃんになったからこその寂しさや心細さ、
そんな気持ちを経験するからこそ人生に厚みが出る、と言うのか。


まるで何層にも重なるようなロールケーキのように、
あんな気持ちになったり、はたまた、こんな気持ちになったりしながら
ぐんぐん大人の階段をのぼり、人生の味を深めてく。

そのたくましさたるや、
大人の私から見ていてもたまにうっとりしちゃうし、
尊敬すらしちゃうときだってある。
そんなお姉ちゃんの姿に、私はたまに励まされているのだ。

夫のスイーツとお茶の用意

ロールケーキはシンプルなようにも見えてしまうけれど、
作り手のこだわりによって風味や食感、後味まで大きく違ってくる。
そのなかから
自分の好みにぴったりはまるロールケーキに出会うのは、なかなか難しかったり。


アルポルトのロールケーキは、というと、
「もう、運命的な出会いをしてしまった」と言てしまったも良いと思う。

ふかふかの生地に
2種類のクリームのコクと香りがまさに最高のバランスを保っている。
ロールケーキにありがちな後味の重たさなんかも一切ないのが不思議!

大袈裟でもなんでもなく、
人生に一度、ぜひとも出会って欲しいロールケーキ。

夫のスイーツメモ

アルポルト

日本イタリア料理界の巨匠、片岡護シェフがオーナーを務めるカジュアルイタリアン「アルポルト」。


日本橋タカシマヤと京都タカシマヤに2店舗を構え、
ちょっと敷居の高い正統派なイタリアンをより多くの人たちに楽しんでもらいたいとの思いから、
内装からお食事までカジュアルなスタイルにて展開している。

ランチタイムもディナーもたくさんの人でお店はいつも賑わい、シェフの思いを反映するかのよう。

誕生日や記念日には特別なコース料理のご用意もされているのだとか。お友達と、ご家族と、恋人と。
どんなシーンにもふと立ち寄りたくなるようなアルポルトは、人々の日常に優しく寄り添ってくれる。

ファミール製菓 片岡シェフ監修ロールケーキ 2,300円

片岡シェフ監修のもと誕生した、オンライン限定のロールケーキ。


マスカルポーネ入りいちごクリームにいちごの果肉を加えて、
さらにスポンジもいちご風味と、とことんいちごを楽しめる贅沢な一品。

仕上げにはいちごとピスタチオ、ドライいちごをトッピング。

たっぷりといちごを使っているから香りがとても良くて、
さらに舌触りの滑らかなマルカルポーネのクリームの良さを柔らかな生地が引き立てる最高の組み合わせには
もはや脱帽としか言いようのない完璧な仕上がりとなっている。

幸せを感じる瞬間は一口食べてから最後まで続き、また、その後の余韻まで続く。

おすすめのペアリング

今回は福建省・武夷山北部で作られた烏龍茶をセレクト。


すっきりとしたなかにも程よい渋みと香ばしさが引き立ち、コクのあるロールケーキの後味をさらにさっぱりとさせてくれる最高のペアリング。

この記事が気に入ったら
Facebookの友達になる