野菜の味わいを存分に活かした野菜菓子

老舗のお菓子屋が多い麻布十番。そんな麻布十番で贈り物に人気が出ているお菓子屋”麻布野菜菓子”。麻布野菜菓子では、野菜そのものがもつ美味しさや個性を生かしたお菓子を取り扱う珍しいお菓子屋である。


見た目も美しい野菜菓子はそれぞれ個性があり美味しい。今回は、麻布野菜菓子の野菜菓子のこだわりを紹介する。

目次

餡からこだわり抜いたどら焼き

どら焼きは簡単そうに見えるが、本格的などら焼きは生地も餡も生産が非常に難しい。そんな、どら焼きを野菜で作るには一手間も二手間も必要になってくる。

「どら焼きは、餡が苦手とかあまり好きじゃないと言う人もいます。野菜餡どら焼きは、見た目もカラフルで美味しく、麻布野菜菓子でも人気商品です。」そう語るのは麻布野菜菓子のオーナー 花崎 氏。


「どら焼きは麻布野菜菓子の一番最初の商品。当時から3種類の味を提供しています。どら焼きの餡は白餡がベースになるのですが、白あんが多すぎると甘ったるくなります。」

「野菜菓子と言うことで、とにかく餡は半分以上野菜を入れたい、そう思い協力会社さんに依頼しました。野菜が多いと白あんが少なく、焦げついてしまうのです。普通のお菓子屋だと引き受けたりしませんが、依頼した先はとても協力的で、野菜ペーストを半分以上入れてどら焼きの餡を作ってくれました。」

野菜餡の美味しさ

「半分以上野菜ペーストが入った餡のどら焼きを提供しているのはうちだけ。そのおかげで、普通のどら焼きよりも野菜の美味しさも加わってとても美味しくなりました。例えば、かぼちゃは半分以上入っているので、かぼちゃペーストと感じる人もいます。あと、生クリームやシナモンも隠し味に加えて、ちょっと洋風にして若い人にも食べやすくしています。」


「紫芋は、スイーツの定番ですが、実は紫芋をそのまま使うと美味しくありません。なぜ使うかというと色が綺麗だからなんですよね。」

「麻布野菜菓子では、半分以上野菜ペーストなので紫芋だけでは美味しくならないのです。そこで、さつまいもも一緒に入れて、おいもの美味しさを出し、紫芋の綺麗な色も出せる工夫をしています。」

多くのどら焼きは餡だけではなく生地も甘いところが多い。しかし、麻布野菜菓子のどら焼きは生地も餡も甘さ控えめであり、野菜の風味を最大限引き出していて美味しい。どら焼きの世界観を変えているといっても過言ではないだろう。

美味しい餡にこだわった野菜最中

よくある野菜菓子では、白餡をベースに野菜パウダーを混ぜるものが多いと言う。しかし、麻布野菜菓子で提供する菓子では試行錯誤の上完成した特別な餡で作っている。

「野菜パウダーの餡は、なんとなく味や香りがするだけのものが多いです。しかし、それだけでは味気ない。どうやったら野菜そのものの素材感を出せるか、を考えるようになりました。」

麻布野菜菓子の野菜最中では、薩摩芋、蓮根、黒胡麻と木の芽がある。それぞれの最中の味は全く違っていて面白い。

「白餡の味がメインとすると、野菜そのものの味や風味が感じられなくなります。とにかく、そこが納得できなかったんです。そこで生クリームやバターなど白餡に乳製品をちょっと隠し味で入れ、甘さの中に”コク”が出るようにしました。そうすると途端に味に深みというか、旨味というか単純ではないコクが出て美味しくなります。」

「白餡に生クリームを入れており、味や風味は独特になっています。賛否が別れ、”すごい美味しい”と言われる方もいれば、”えー?”みたいな意見も。あまりにも、和菓子では想像できないような餡になっているので、普通の和菓子を想像すると全く違う味になっています。」

黒胡麻と木の芽と言う変わり種の最中

黒胡麻と木の芽と言う最中。木の芽は山椒の香りがとてもするお菓子になっており、普通山椒はお菓子に使われてないことから変わり種ともいえる。

「山椒はスパイス。シナモンはパンプキンパイとかに入れる隠し味。それと全く同じ扱いで、ゴマには山椒をいれています。これが結構相性がいいんですよね。」

最中の飾りはこだわりのアクセント

「最中の上には、それぞれ蓮根や山椒がのっています。これはただの飾りではなく、野菜を焼いて最中の皮に添えています。すごく野菜の香ばしさが出て、全体の美味しさを引き締めてくれるのです。」

麻布野菜菓子の野菜最中は、餡と最中の皮が別々にされて販売されている。それは、最中の外側のサクサク感と餡のしっとり感を楽しんでもらいたいという想いからきている。
野菜餡は、野菜の風味や香りがふんだんに感じられる。人によっては嫌いな餡に感じることもあるかもしれないが、最中に挟んでぜひ食べていただきたい。餡だけで食べるのと、最中と挟んで食べるのでは全く違う味になり、新しい体験をすることになるだろう。

野菜の風味がふんだんに感じられるフィナンシェ

「和菓子の浮島という蒸し菓子を、パウンドケーキみたいにしたのが野菜フィナンシェ。フィナンシェに和菓子の作り方をアレンジして作った和風のフィナンシェになります。」

「野菜フィナンシェは全て着色料を使わず、野菜の素材の色で作っています。野菜そのものの素材を使っているので結構カラフルで綺麗なんですよね。」

「麻布野菜菓子では、どら焼きや最中などの餡ベースのお菓子がメインなのですが、餡ペーストをフィナンシェの生地に入れるのは難しい。野菜のパウダーを野菜の風味がしっかり感じれるぐらい十分な量を生地に練りこんで作っています。実は生地に一定以上パウダーをいれてしまうと、膨らみ加減が変わり、焼き時間や焼き加減が難しくなります。また、これほどパウダーをいれてしまうと普通のお菓子屋さんの常識では考えられないほどコストが上がってしまいます。」

「『まあ、ちょっと野菜の風味がするね』ぐらいの中途半端なお菓子だとやっている意味がないと思いました。とにかく野菜の味が全面に出て、すごく美味しいフィナンシェを作るために、何回も試行錯誤して開発しました。」

想像もつかない麻布野菜菓子の野菜フィナンシェの味

麻布野菜菓子のフィナンシェは、しょうが、紫芋、トマト、ほうれん草、かぼちゃ、ごぼうの味が提供されている。種類を聞いていると、どんな味なのか想像もつかない。

「トマトの味は酸味、そしてトマトにはコクがあります。上にのっている砂糖漬けのドライトマトは実は隠し味として重要なポイントとなっています。トマトフィナンシェはドライトマトをのっけなければ結構固いのですが、ドライトマトをのっけて焼くと、とても柔らかく、甘みも出てきます。すごく個性的な味なのですがとても美味しい。」

「ゴボウフィナンシェは、ゴボウだけだと本当に土臭くなってしまいます。そこで、ココアを混ぜて土臭さを消しています。見た目は、ココア風味なんですが、ココアとかチョコレート焼き菓子とは違っていて、ゴボウのコクが効いているお菓子となっています。説明は難しいのですが、あえていうとコクのあるチョコレートと言う風味です。」

「ほうれん草のパウダーは、舐めると実は抹茶っぽい味がします。抹茶ほど苦くはないのですが、ほうれん草の欠点は、色。綺麗な緑色にはならないのです。そこは、抹茶の優れているところなんですよね。」

「なので、ほうれん草フィナンシェの中には、抹茶もいれています。でも、分量としては、抹茶に対してほうれん草が倍も入っていますが、味は抹茶味に仕上がっています。」

野菜フィナンシェと聞いて、ただ野菜パウダーが入っているだけと思う人も多いのではないだろうか。野菜はもともとお菓子に入れるものではないのでお菓子の調理方法では野菜そのものの風味を引き出すことは難しい。野菜フィナンシェを作るためには、一つ一つ野菜の風味を引き出すための工夫が必要になってくる。一手間も二手間もかかる野菜フィナンシェはギフトとしても利用しやすいのではないだろうか。

麻布野菜菓子の店舗紹介

いかがだっただろう。麻布野菜菓子の野菜餡どら焼きをぜひ食べに麻布十番まで足を運んでみてはいかがだろうか。

お店情報
店名:麻布野菜菓子

住所:東京都港区麻布十番3-1-5

定休日:火曜日(第二・第四)

営業時間:11:00~19:30

本山智男
株式会社SweetsVillage 創業者。 3度の飯よりスイーツが好き。お菓子屋さんの取材を50件以上実施。様々なスイーツの企画にも携わり、スイーツの商品開発などにも携わる。

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