芽が出て花が開いたその先に、たどり着いた答えとは

このところ、オーガニックフードや無添加食品などカラダに良い食べ物を目にするようになった。ヴィーガンフードもそのひとつ。カラダに良いものはナチュラルな雰囲気が漂い、どこか物足りないイメージがあるように思う。

そんな中、「美味しい・カラダに良い・見た目がカワイイ」と理想的な三拍子を揃えたヴィーガンスイーツブランド《DAUGHTER BOUTIQUE(ドーターブティック)》は、ある意味、お菓子業界の革命的存在。今までありがちだったヴィーガンフード特有の問題をクリアし、健康志向の人だけでなく流行に敏感で感度の高い女性たちを中心に人気が広まっている。

今回は、そんなDAUGHTER BOUTIQUEの代表であるフェルネスフード研究家・堀川久美子(ほりかわ くみこ)さんに、ブランド創設のきっかけや、ヴィーガンフードを作る思いを伺った。

Contents

「自分自身、万年ダイエッターでした。」

「子供のころからお菓子を作ることも食べることも好きでした。」

「小さい頃から自分の体型に少しコンプレックスを持っていて、万年ダイエッターだったんです。20歳くらいの時に、食事を変えることでカラダが変わることを実感して、マクロビなどのカラダに良い食事を積極的に取り入れるようになりました。ただ、当時はヴィーガンやグルテンフリーなどが一般に出廻っていなかったこともあって、実際にマクロビ系のお菓子を自分で作るようになったのは、20代半ばくらいからなんです。」

ファッション業界から、お菓子の世界へ

食べることが好きだと話す堀川さん。実は子どものころから「食」の世界ではなく「ファッション」の世界で働くことを夢見ていた。

「世界中を飛び回るバイヤーに憧れ、セレクトショップのオーナーになることをずっと夢見ていました。自分でデザインしたアクセサリーを作ったりしていたので、将来は自分のお店を持ち、日本にまだ入ってきていない新進気鋭のアーティストをいち早く紹介しつつ、自分のオリジナルブランドもできたらいいな、なんて。」

その夢を叶えるため、OLをしながら資金を貯めること3年。念願叶いアメリカへ。これがきっかけとなり堀川さんの目標が動き出す。

「アメリカから帰ってきて『もっと英語が話せるようになりたいな』とか、『輸入の仕事を学びたい』と思うようになりました。そこから輸出入業務を派遣で経験するなど、英語を使った仕事を2社ほど経験しました。」

思い立ったらすぐ行動する実行力の高さは、どこか人を惹きつける魅力を感じる。経理事務や輸出入事務を経験し、ファッションの世界へと飛び込む。

「ずっとファッションの世界で働きたいと言いながら、実際にその世界に足を踏み入れたのは20代半ばくらい。セレクトショップ、輸入代理店、メーカーに勤務し、商品開発や販売管理・売上分析、VMD、海外ブランドの買い付け、海外販路開拓営業等を経験し、トータルで5年ほどファッションの世界にいました。最後は、日本人デザイナーのブランド立ち上げにも参加しました。」

小さなころ掲げた「セレクトショップのオーナーになる」目標へと着実に近づいているかのようにみえたが、堀川さんの中に、あるひとつの気持ちが芽生える。

「ファッションの世界って、とてもめまぐるしいんです。そんな中、『流行にとらわれず、自分が好きなものを発信し続けるクリエイターになりたい』そう思うようになりました。」

その思いがファッションの世界ではなく、どうしてお菓子の世界へと舵をきっていったのか。

「食べることが好き」という気持ち

「確かに、ファッションの世界でも流行にとらわれず、独自のスタイルを貫いているブランドさんだってあります。ずっと憧れてた世界でようやく仕事ができるようになって、でも、ふとした時にポッと『ファッション以外の世界も見てみたいな』『ファッションじゃなくてもいいのかな』って、新たな気持ちが自分の中に芽生えてきたんです。」

この芽生えは、DAUGHTER BOUTIQUE誕生のきっかけである、小さな種を蒔いた瞬間でもあった。

「もともと、食べることがすごく好きではあったけれど、痩せたい気持ちもありました。だったら、健康的な食を扱う仕事を自分で始めたらどうだろう?そう思って、ヴィーガンやグルテンフリーのお菓子ブランドを思いつきました。私が始めようと思った当初、海外にはそういったお菓子ブランドはすでにいくつもあったけど、日本にはほとんどなくて。それなら、自分が始めようと。」

ファッションの世界を夢見た少女が、お菓子の世界へと足を踏み入れた瞬間だった。
しかし、ファッションブランドとお菓子のブランドをクリエイトする感覚においては、堀川さんの中にそれほど違いはなかったとのこと。

「私にとってはどちらも『ブランドを作る』と言う意味では同じことです。だから、ファッションブランドを作るのと同じような感覚で、DAUGHTER BOUTIQUEを作っています。」

姉がいたから、今がある。

いくら同じ感覚とはいえ、ファッションの世界とお菓子の世界は全く違うもの。そのきっかけに、お姉さんの存在が大きく関わっているのだそう。

「私の場合、姉がパティシエだったので、製法や包装の仕方などわからないことをいろいろ相談して教えてもらいました。」

「姉の存在が、何より心強かったんです。」

頭の中にすでにあった、ブランドイメージ

ブランドの方向性やお菓子のレシピ開発に数年もの時間をかけ、やっと自分のブランドを立ち上げる人も多い中、堀川さんは1週間という超ハイスピードでDAUGHTER BOUTIQUEをオープンさせた。

「マクロビなど、健康的な食に目覚めたのは20代の頃でしたが、30代半ばはチアシードなどスーパーフードがちょうど世に出始めたころでもあったんです。『自然のもので健康になれるって、すごい』そう思ったのと同時に『チアシードを使ったお菓子はまだ聞いたことがないから話題性もあるし、健康的な食を軽いタッチで楽しく世の中に広められるはず!』って思ったんです。」

確かなひらめきは、そこに裏付けされた感覚があったからこそ。サイクルの早いファッション業界で磨いた鋭いアンテナが、堀川さんのイメージを膨らましていく。

「チアシードを使ったミニマフィンを試作で作って人にあげたりしてたんです。それがきっかけで、オーガニックマルシェへの出店が実現し、そこから一気にブランド立ち上げへと動き出しました。材料の調達や作る場所を探したり、ブランド名は以前作ったオンラインショップの名前を転用することにし、ロゴデザインから紙袋に押すハンコやパッケージに貼るシールの作成、ブログの立ち上げ、facebookページ作成まで、全て1週間で仕上げました。」

いくら頭の中に構想があったとはゆえ、いざ行動するとなると躊躇してしまう人がほどんど。1週間という短い期間で準備をして挑んだ初出店は、ミニマフィン4個入りのみの販売であったにも関わらず、高い買い上げ率で確かな手ごたえを感じたというからすごい。

みんな、誰かの娘だから

DAUGHTER BOUTIQUEというブランド名の由来についても、話を伺った。

「ファッションから食へと方向を変えるまでの少しの間に、雑貨ブランドをやろうかな、と思った時期が少しあったんです。そのきっかけは、私の父が家具職人であることが関係していて。」

「自分が描いたケーキスタンドのデザインスケッチがあって、それを父に作ってもらったんです。それを販売しようかなと思ってブランド名を考えていた時でした。父親と自分から連想して『ファザー&ドーター』を意味する名前をいろんな国の言葉で考えてみたんですが、ちょっとしっくりこなくて。それで、ドーターだけ残して『DAUGHTER DESIGNS(ドーターデザインズ)』にすることに。ドーター(娘)と言えばそこに親の存在も間接的に見えて、親子関係は表現できてるかなと思ったんです。」

DAUGHTER BOUTIQUEの店内の内装は、内壁から家具まで堀川さんのお父様がすべて作った。

「ドーターデザインズのケーキスタンドと、日本ではあまり見ないような可愛いカップケーキ用のカップを海外から輸入して、それらをオンラインで販売することにしたんです。そのオンラインショップがDAUGHTER BOUTIQUEでした。」

ハイセンスなパッケージ

「DAUGHTER BOUTIQUEのブランドコンセプトとして、『ヴィーガン・グルテンフリー』を大前提に掲げています。ブランドを始めた当初は全粒粉を使っていたんですけど、カラダに良いものを追求するうち、グルテンフリーへと辿り着きました。今は全てのお菓子をヴィーガン・グルテンフリーで作っています。」

素材へのこだわりはもちろん、思わず手に取りたくなる可愛いパッケージはDAUGHTER BOUTIQUEの魅力のひとつと言える。無駄をそぎ落とし、シンプルでいてバランスと調和の取れたセンスあるデザインは、ファッションの世界と通ずるものがある。

「幅広い層の方へ手に取って欲しいから、パッケージは極力シンプルにしました。濃いピンクなども使ってはいますが、ガーリーに傾きすぎたくはないので、ロゴには男性的なエッセンスを感じるフォントを選んでいるんです。」

女性心をくすぐる一方、男性へのギフトとして選んでも失敗がない。

カラダもココロも喜ぶお菓子を届けたい

DAUGHTER BOUTIQUEのお菓子は、見た目の可愛さや美味しさから、「ヴィーガン、グルテンフリーだからカラダにやさしい」ということが良い意味でそれらの後に続いてみせる。それは、ブランドを立ち上げた堀川さんの思いが形になっている証拠でもある。

「私にとってお菓子は、目で選ぶ楽しみと食べる楽しみの両方あってこそなんです。」

「例えばうちのギフトを受け取った方が『へぇ、ヴィーガンなんだ。グルテンフリーなんだ。』って、食べた後に気づいてくれてる。もちろん、気づいてくれなくてもいいんですけど、ただ純粋にお菓子として楽しんで欲しい、喜んでもらいたいという気持ちがあります。」

DAUGHTER BOUTIQUEのお菓子は、「これって、本当にヴィーガンフードなの?」と感じるほど、普通のお菓子と変わりがない。むしろ、食べた後に余計な甘ったるさが残らず、それでいて食べ応えは十分。

「ヴィーガンやオーガニックって聞いて『美味しくないんでしょ』『我慢する感じでしょ』と、そんな先入観を変えて行きたい。ヴィーガンやグルテンフリーを全く知らなかった人や興味のない人にもDAUGHTER BOUTIQUEのお菓子と出合って、その良さに目覚めてくれたら、それが一番嬉しいです。」

カラダに良い「食」は、ダイエットをしている人やアレルギーが原因で食事を制限された人のみでなく、なんとなくカラダの不調が続いている、そんな人にも良い影響を与えてくれるように思う。

今回、堀川さんにお話を伺い、ある女性アーティストの言葉が頭に浮かんだ。どんな人も、美しく健やかに生きる権利が平等にある、と言っていたあの言葉にDAUGHTER BOUTIQUEのお菓子もまた、たくさんの人のココロとカラダを美しく、そして元気にしてくれる。
そしてなにより、堀川さん自身が、一番輝いていた。

 

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店舗情報
店名:DAUGHTER BOUTIQUE|ドーターブティック

住所:東京都台東区松が谷3丁目16−8 並木ビル1F

営業時間:9:00~18:00

定休日:日曜,水曜

kanmi
3時のおやつはかかせない、甘党フリーライター。好物はクラブハリエのバームクーヘン。毎日がほんのりとあたたかくなるような文書をお届けします。

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