FIKA(フィーカ)との偶然の出会い、FIKA(フィーカ)を伝える旅する小さなお菓子やさん

世田谷区豪徳寺、小田急線と世田谷線の2線に囲まれるこの駅は、閑静な住宅街がとして人気も高く、老若男女問わず、賑わいを見せている。そんな豪徳寺駅を降りてすぐにある商店街を進むと、”長くつ下のピッピ”に出る少女をイメージさせるロゴが描かれた小さな看板を目にする。
焼き菓子の甘い匂いにつられ奥に進んでみると、店頭に色とりどりのお菓子に囲まれた”FIKAFABRIKEN(フィーカファブリケン)”にたどり着く。
シナモンロールやキャロットケーキ、クッキー等色とりどりの焼き菓子がカウンターに並べられ、店に来るお客さんが一同ににお菓子を見て笑顔になる姿を見受けられる。
今回、そんなFIKAFABRIKEN(フィーカファブリケン)はどういった想いでFIKAFABRIKEN(フィーカファブリケン)を始めたのか、その裏側に差し迫ってみた。

デートじゃないデート、スウェーデンで出会ったFIKA

お店の名前にも含まれているFIKAとの出会いは、大学時代に行ったスウェーデンの留学までさかのぼる。

そもそもFIKA(フィーカ)とは、お菓子やコーヒーを食べながら、人とコミュニケーションをとるスウェーデンの伝統的な習慣。

 

「学生時代スウェーデンに留学を行った当初、中々留学生同士コミュニケーションが取れませんでした。そんなある日、留学生同士で一緒に行ったFIKA(フィーカ)を通して、留学生同士コミュニケーションが取れるようになって、仲良くなれました。」FIKAFABRIKEN(フィーカファブリケン)のオーナー 関口氏は語る。ランチとかお買い物ではなく、もっと気軽に誰とでも行けるコミュニケーションツールがFIKA(フィーカ)であり、年上の人や異性の人とも気軽に交流が図れるという。

 

「スウェーデンでは、当たり前の様にカフェに行く文化があります。男同士でカフェに行くことも多いし、みんながみんな行きつけのカフェを持っています。人に聞かれたりしたら、すぐに美味しいカフェや家の近くにある落ち着けるカフェを紹介できるんですよ」日本にないカフェの文化に衝撃を受けたという。

 

FIKA(フィーカ)というスウェーデン特有の文化に触れ、日本にないこの文化に対して徐々に興味を抱くようになった。

FIKAFABRIKENのルーツは大学時代の経験までさかのぼる

お菓子屋を始めるきっかけは18歳の時の経験が大きいと関口氏はいう。

「18歳の時にたまたま10℃カフェのメンバー募集をしているのを見かけ、元々カフェが好きだったこともありすぐに募集をしてみました。10℃カフェでは、カフェのバイトぐらいかと思っていたのですが、カフェのメニューは勿論、店内のBGMや装飾まで任されたりと学ぶことが多かったです。」スウェーデンに留学する前まで働いていた10℃カフェでの経験が、その後の留学にも活きたという。

 

スウェーデンでの留学では、大学寮に入り、日々寮メンバー同士で自炊を行っていた。まさしくここで、10℃カフェでの経験が役に立ち、寮メンバーに色々と振舞っていたという。

食事を振舞う中で、10℃カフェ時代にできなかったお菓子を振舞ってみたら、今まで以上に寮生に喜ばれ、お菓子作りに対して興味が膨らんでいった。

スウェーデン留学を終え、FIKAFABRIKEN(フィーカファブリケン)の誕生まで

スウェーデンの留学を終えて日本に帰国したのだが、引き続きスウェーデンとの繋がりを持ちたいという理由から、六本木にある「リラ・ダーラナ」というスウェーデンを始めとした北欧料理店でアルバイトを始めた。

 

「リラ・ダーラナが個人自営ということもあり、食後のデザートやお店の内装など自由にやらせてもらいました。また月一回休みの日には、お店を使いカフェの運営もさせてもらいました」10℃カフェやスウェーデンでの留学経験を生かしながら、徐々に今のFIKAFABRIKEN(フィーカファブリケン)に繋がっていったと関口氏は語る。

 

その後、最初は無店舗でお菓子の販売を始めた、店舗を持ってしまうと、お菓子作りに追われ、好きなお菓子作りが作業になってしまったり、お菓子の研究やスウェーデンの文化の研究といったほかにやりたいことができなくなってしまうと思ったからという。

「2016年にFIKAFABRIKEN(フィーカファブリケン)を開業してすぐにヒカリエへの出店が決まりました。最初はクリスマスの時期の出店でしたが、ヒカリエのマネージャーのご厚意もあり、その後のバレンタイン時にも出店させてもらいました。」2回目の出店で、リピーターのお客さんが増えてきて、毎回お店がないか聞かれたと関口氏は語る。

 

そんな時、ヒカリエの出店のお手伝いをしてもらった友人より、「自分のペースでやってみたら、お店を持つこともできるんじゃないかな」と言われ、自分のペースでいいのであれば、店舗を持てると思い、豪徳寺のFIKAFABRIKEN(フィーカファブリケン)の店舗が生まれたという。

 

豪徳寺という場所は、元々中高を豪徳寺周辺の学校ですごしたこともあり、馴染みのある場所を選んだという。その関係か、中高の友達や先生にもFIKAFABRIKEN(フィーカファブリケン)に来てもらい、自分のお菓子への想いを伝えられているという。

 

FIKAFABRIKEN(フィーカファブリケン)は月曜~水曜をお菓子の仕込みや他の研究、インスピレーションの場としており、今後も毎日お店を開けることはないという。

FIKAFABRIKEN(フィーカファブリケン)の由来

直訳すると”お茶の時間工場”と訳すようにFIKA(フィーカ)という時間を大切にしたいという。

「FIKA(フィーカ)はある意味文化や宗教と一緒で抽象的な意味である為、それを発信する上でお菓子あります。スウェーデンの文化を伝えていく上で、自分が好きなお菓子作りを通して発信し続けたい」将来的には、留学先で学んだ南スウェーデンの本を出して、スウェーデンの文化を発信していきたいと嬉しそうに関口氏は語る。

 

そのFIKAFABRIKEN(フィーカファブリケン)のロゴが作られたのは、今から6年前までさかのぼる。

表参道の国連本部の前で行われているファーマーズマーケットに出典出典をした際に、たまたま近くに出典をしていたコーヒー屋さんのロゴが可愛いと思いデザイナーの紹介を受けたという。デザイナーからは、スウェーデンに繋がる案を何度も出してもらったが、中々しっくりくる案がなかった。デザイナーとの打ち合わせを行った際に、たまたま話をした長靴のぴっぴの話から、ぴっぴが持つ鞄を季節や場所に合わせて変えるロゴにしては面白いのではとなり、今のロゴに繋がったという。

FIKAFABRIKEN(フィーカファブリケン)には、”旅する小さなお菓子屋さん”というサブタイトルがある。大学時代に関口氏は10数か国ヨーロッパを周り、色々な文化に触れたという。

FIKAFABRIKEN(フィーカファブリケン)は、スウェーデンがベースではあるが、他のヨーロッパの文化も伝えられればと考えている。

FIKAFABRIKEN(フィーカファブリケン)のお菓子へのこだわり

以前アルバイトをしていた焼き菓子屋では、カウンター一杯にお菓子が置いてあったという。来てもらうお客さんは、お菓子をみながら笑顔になっていた姿をみて、わくわくできるお店を作りたいと思ったという。

お菓子屋で購入するお菓子というと、どうしてもハレの日に食べられるものと印象がある。一方で、FIKAFABRIKEN(フィーカファブリケン)では、”FIKA(フィーカ)”を提供しているからこそ、日常的に食べれるお菓子を作っている。

「スウェーデンでは、焼き菓子をお店で買うのではなく、日常的にお母さんやおばあちゃんが家で作ってくれ提供しています。残念ながら日本においては、家庭で焼き菓子を作る文化がないからこそ、FIKAFABRIKEN(フィーカファブリケン)で提供をしています。」自身もケーキを始めとした生菓子も作れるが、FIKA(フィーカ)と繋がらなく、自身が作らなくても他のお店が提供しているからこそ、日常的な焼き菓子を提供していると関口氏は語る。

 

FIKAFABRIKEN(フィーカファブリケン)で取り扱っているクッキー缶では、スウェーデンの文化を大切にしている。スウェーデンでは、人を家におもてなしする際に、7種類のお菓子を用意することが最高のおもてなしと言われている。

 

そのため、FIKAFABRIKEN(フィーカファブリケン)のクッキー缶では7種類のクッキーを用意。FIKA(フィーカ)で大切な人をおもてなしをする時に最適なお菓子として作っている。

今後の展開

関口氏は、今後お菓子だけに止まらず、スウェーデンの“FIKA(フィーカ)”をはじめ、自身が留学した南スウェーデンの文化を日本に広めていきたいという。

また、今年の夏に3週間ほどスウェーデンに行ってくるという。スウェーデンで美味しいものや雑貨・食器など”FIKA(フィーカ)”に繋がるものを見つけてきて、FIKAFABRIKEN(フィーカファブリケン)で展開していく。

[box title=”お店情報” box_color=”#4169E1″]店名:FIKA FABRIKEN(フィーカ ファブリケン)

住所:東京都世田谷区豪徳寺1-22-3

定休日:月曜日、火曜日、水曜日

営業時間: 11:00〜19:00[/box] [gmap address=”東京都世田谷区豪徳寺1-22-3″]

本山智男
株式会社SweetsVillage 創業者。 3度の飯よりスイーツが好き。お菓子屋さんの取材を50件以上実施。様々なスイーツの企画にも携わり、スイーツの商品開発などにも携わる。

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