銀座並木通りを横切った先、ビルの一角に店舗を構える”椿サロン 銀座”。

「それ」を求めに行かなければ気づけないカフェは、まさに「隠れ家」。少し古いビルの小さなエレベーターを上がると別世界が広がる。

美術館のような芸術的なカフェに広がる洗練された”プロの技”。コーヒーや料理だけではないプロとしてのこだわりを感じられずにはいられない。

椿サロン 銀座の看板商品は「北海道ほっとけーき」。

ふっくらとした生地は、揺らせばプルプルと揺れるほど。柔らかく、弾力があることからナイフではなかなかきれないほど。まさに、パンケーキとは一線を画し「新しいジャンル」といっても過言ではない特別な食感と味。今回は、椿サロン 銀座を特集する。

 

1000店舗のインテリアデザインを手がけるアトリエテンマ

ホテル・クリニック・飲食店など幅広い分野で1000店舗以上のインテリアデザインを手がける北海道を代表するインテリアデザイン事務所”アトリエテンマ”。椿サロンの運営母体はデザイン事務所であるアトリエテンマである。

 

「うちはアトリエテンマを初めに設立しており、今年創業29年目。その中でカフェを始めたのは11~12年前。1階でカフェをやろうと思い立ち、札幌の本社ビルを買ったときがきっかけで始まりました。」

「アトリエテンマでは、お客様のお店をデザインしてお店を繁盛させること、プロジェクトを成功させることが仕事。その中で、これまで手がけたたくさんの店づくりの中で自分ならこうしたいという想いがどんどん膨らんできた。そしていつかは、自分の責任の中で、自分が作ってきたアトリエテンマワールドを表現して、しっかり感じてもらえる場所やステージがほしいと思ったわけです。」と語る椿サロン オーナー 長谷川 演 氏。

日本を表現した「本物の北海道カフェ」椿サロン 銀座

椿サロンのコンセプトは美味しく正しく美しく、の「本物の北海道カフェ」。世界のブランドとなった「北海道」を表現し、この時代の風をちゃんと感じてもらうことを心がけている。

 

「椿サロン 銀座については、銀座と北海道のマッチングという感じでもない。銀座は世界の銀座なので、北海道を表現しているというよりは日本を表現しなきゃダメだなっていう感じがしています。北海道のゆとりある大らかな空間に日本の緻密な技術や伝統工芸の技だったりと日本文化のテイストをいろんなところに散りばめています。」

カフェの中央に大きく構えられているテーブル。このテーブルは日本の伝統文化である”和紙”でできている。

「このテーブルは大地を表現したいので、広大な大地に北海道の木彫りのクマを置いてみました。天井も壁にも和紙を使っているのですが、椿サロン 銀座はほっとけーき屋なのでイチゴが合うと思い、イチゴ染めの手作りの仕上げにしています。」

「そういった私たちのこだわりを、銀座のお客様は敏感に感じ取っていただけます。和紙の話などは、お店の中にどこにも記載はないし、説明したりもしない。食器やテーブルの細かい作りがわからない人にも、この空間にいて店を出る頃には何か違うなと気づいてくれます。銀座 椿サロンの店の中のものは食器を含め全てカタログから選んだものはほとんどありません。コーヒカップから始まり、ナイフ、フォークそしてお皿まで、全てほっとけーきを食べるためだけのものをオリジナルでデザインしています。」

無添加 唯一無二のほっとけーきが銀座の挑戦を後押し

椿サロンは、札幌本店から始まり、そのこだわりや守り抜いたブランドから星野リゾートからも出店を要請されている。

「椿サロン銀座は今年3月にオープンしたのですが、実は8年前くらいにもコリドー街の不二家の本社ビルに最初の銀座店はありました。1号店は本店で12年前、そのあとに2店舗目で不二家ビルに銀座店をオープン、次に北海道の新冠町にちっちゃい夕焼け店をオープンしました。のちにその銀座は期間限定のためクローズ。その後、札幌の観光名所北海道庁赤れんが庁舎の目の前に赤れんがテラス店、星野リゾートトマム店が同じ時期にオープンし、それで直営店舗は終わりにしようと思っていました。」

「しかし昨年、赤れんがテラス店で最高のほっとけーきが完成しました。素材は全て北海道の無添加、小麦粉、卵、バター、てんさい糖と全て北海道産。北海道の強さを最高のパフォーマンスで出せる、絶対に誰にも真似できないクオリティのほっとけーきを開発したと盛りがって、銀座でまたチャレンジしたいと思うようになりました。」

 

椿サロン こだわりのほっとけーき

椿サロンのほっとけーきはかなり特徴的である。そもそもそのネーミングも、カタカナではなく、地元にある素材で作り上げたレシピなので、ひらがなの「ほっとけーき」としている。もっとも特徴的なところは無添加であること。一般的なホットケーキはベーキングパウダーに始まり、香料、着色料などが含まれている。特に膨らませるためのベーキングパウダーは外すことができない。

しかし、椿サロンのレシピは圧巻。膨らませるのに必要なベーキングパウダーを使わず、たったこれだけの材料でほっとけーきを作ってしまう。

「椿サロンのほっとけーきは、ベーキングパウダーを使わない。普通はベーキングパウダーがないと膨らむわけありません。小麦粉、砂糖と卵しか入っておらず、化学の実験をするように何度も試しふっくら膨らむように仕上げました。小麦粉も成分を分けていろんな温度を調整しながら余計なものを一個ずつ抜いていきました。」

椿サロンのプレミアムほっとけーき とボロネーゼほっとけーき

ベースであるほっとけーきは、甘くスイーツとして食べる「北海道ほっとけーき プレミアム」と、ランチとして食べる「北海道ほっとけーき ボロネーゼ」がある。

 

「北海道ほっとけーき プレミアム」は、まさに北海道づくし。生地の小麦粉から卵、十勝小豆、バター、チーズ、てんさい糖蜜まで全て北海道のもので作られる。

 

「付け合わせのチーズ、バター、十勝小豆、てんさい糖の蜜の4種はこだわりにこだわった付け合わせ。特に一番悩んだのがてんさい糖の蜜。北海道にはメープルシロップがなくハチミツでやろうと思っていました。ただ、ハチミツは固さがありかける感じを実現できない。そこで、黒蜜っぽい、てんさい糖の蜜をみつけほっとけーきに合うシロップを作ることができました。また、甘いものばかりだと飽きるのでチーズのお口直しは女性にも人気です。」

「北海道ほっとけーき ボロネーゼ」は、スタッフのまかないから生まれた主食としてのホットケーキ。初めはボロネーゼではなく、大きなサラダとソーセージのバージョンもありましたが、銀座ではオリジナル感を表現できることから採用しました。

ボロネーゼはひき肉、トマトがたっぷり入った贅沢な一品。ほんのり甘いほっとけーきとボロネーゼの相性は抜群。バターと食べるとさらに味が引き締まりとても美味しい。

 

椿サロン 銀座限定の季節を感じるほっとけーき

椿サロン 銀座では、季節を感じさせるほっとけーきも提供している。2018年7月から提供している季節限定ほっとけーきは”夕張メロンのほっとけーき”。

贅沢に夕張メロンを使った、北海道ほっとけーき。別盛りのメロンの一皿の中にはバニラテイストの北海道牛乳アイスと牛乳プリン。とてもメロンがうまく絡み合う組み合わせに仕上がっている。

「この辺りは銀座6丁目。ここならではの銀座テイストをいつも意識しています。春まで出していたイチゴもそのまま味わって欲しい。けれども、そのイチゴをちゃんと手を加えて美味しくもしたい。ジャムにしたりと、同じイチゴでも幅広い味をこの一皿で楽しむことができます。」

 

最高のほっとけーきに合う自慢の北海道珈琲

「珈琲には北に行けば行くほど深くローストされる特色がある。北海道は冬が長いからなのかと思いますが、北海道で焙煎している人の多くは深煎りにする傾向がある。椿サロンでは、ほっとけーきにフィットする、香り高いテイストで2種類、一杯ずつ丁寧にネルドリップで提供しています。」

椿サロンの主役はあくまでほっとけーき。ほっとけーきのの味を邪魔せず、なおかつ珈琲単体としても楽しめる。そのこだわりの珈琲の形をつくるのがカップ。カップも椿サロンオリジナルで運ばれて来た時、多くのお客様はその繊細さに目を奪われる。

椿サロンを通じて10年後20年後の北海道の新しい文化を作る

 

札幌を含め多店舗で運営している椿サロンの噂は広まり、フランチャイズとして運営させてほしいという声は絶えないという。一方で、椿サロンのほっとけーきは”焼き”が難しい。お客様に最高の品質で提供するためには、まずは自社運営で一歩一歩品質担保に勤めていく必要があるという。

 

「椿サロンは、ビジネスとしてやっていくというよりも文化をつくっているという想いでやっています。全国で北海道物産店が開催されていますが全国の中でも北海道の人気は上位に入っています。北海道に住んだことのない人には知られていませんが、北海道は独自の文化がまだあまりありません。文化を作るという意味でも椿サロンのような、シンプルに北海道の素材を使ったほっとけーきで北海道を広めるというコンテンツとしては最高なんじゃないかと考えています。北海道の正しい食材丁寧に添加物を含めずシンプルな食材で作る。一つの商品を通して10年後20年後の北海道の新しい文化を作って行ければと考えています。」

 

椿サロン 銀座の紹介

 

 

[box title=”お店情報”  box_color=”#662800″]店名:銀座 椿サロン

住所:東京都中央区銀座6-6-19 新太炉ビル 3F

定休日:不定休

営業時間: 11:30〜18:30[/box] [gmap address=”東京都中央区銀座6-6-19 新太炉ビル 3F”]