お酒とのマリアージュが楽しめる 「酒粕 焼きかりんとう」

 今回訪れたのは東京の中でも下町感が残る千駄木駅から徒歩5分ほどのところにある「薫風(くんぷう)」。

 製薬メーカーでの分析や飲食店のコンサル経験、様々なジャンルのシェフ経験のある、笑顔が可愛い店長のつくだ氏が一人で製造から販売まで手掛ける、和菓子とお酒のマリアージュが楽しめるお店だ。

 今回はそんな薫風の中でも特にお酒好きにおすすめしたい「酒粕 焼きかりんとう」についてご紹介する。

和菓子と日本酒のマリアージュ

 薫風のコンセプトは「和菓子と日本酒のマリアージュ」だ。

 つくだ氏に、なぜ和菓子と日本酒のマリアージュをコンセプトにしたのか伺った。

「和菓子と一緒に提供する飲み物として、四季感表すことができるっていうものって、いろいろ考えていったんですけれども、それがやっぱり日本酒だなって。

 日本の食の生活と、気温の変化と伴って飲んでいくことができる。

その変化を楽しんでいくことができるっていうものは、日本酒しか考えられない。」

との回答が返ってきた。

日本酒だけじゃない さまざまなお酒と楽しめる薫風の和菓子

 和菓子とシャンパーニュの会
 和菓子と地ビールの会
 和菓子とクラフトビールの会
 シェリーと和菓子の会

 これは、これまでに店長のつくだ氏が、様々なお酒の名手と手がけてきたイベントの一部だ。

 地ビールやクラフトビールの会は、COEDOビールで有名な朝霧社長と手がけたイベントであることからも、つくだ氏の作る和菓子がいかにお酒とマリアージュするのかが伺える。

 これ以外にも様々なイベントに出店したり、定期的に店舗で和菓子とお酒を提供するイベントを開催しており、取材当日はおすすめの日本酒を提供して頂いた。

創薬の研究者から和菓子作りへの転身

 飲食の世界に入るまでは製薬メーカーで創薬に携わっていたつくだ氏。健康に対しての関心が深く、転身のきっかけも”健康”にあった。
 転身の理由をつくだ氏はこう語る。


 「化学的な処方は、表面的だったりとか、あとは緊急事態的なものでできることだと思うんですね。頭が痛いから鎮痛薬飲むとか。

 でも、なぜ頭が痛いのか、なぜ慢性的にそうなるのかって考えたときに治すなると、やっぱり東洋医学的な考え方っていうんですかね、自分の食生活だったり、睡眠だったりを正していかないと、抜本的には治らなかったりしますよね。

 そう考えたときに、一番関わってるのは”食”だと思いました。それで、その食の部分で何か治療できたり、何か改善できたりしないかな、と思いました。」

 そんなつくだ氏だからこそ思いついた、新しい形の和菓子の楽しみ方があるのだ。

好きなお酒・飲み物と楽しめる

 日本酒を中心に飲み物の提供をしている薫風だが、日本酒以外にもワイン・シャンパーニュ・ビール・和紅茶・中国茶など、お客様の好みに合った飲み物を提供している。

 もちろん、提供する飲み物も健康に良い影響を与えるものが中心だ。

 特に、日本酒以外だと季節に合わせて飲める中国茶を豊富に揃えている。

 「発酵の割合が比較的軽い緑茶といわれている部分は、体を冷ます効果があったり、 プーアール茶は、体を芯から温める効果があったり、菊のお茶は利尿作用を促すので、梅雨の時期や9月の台風の時期に飲むのが良い」

などなど、お茶の説明もしてくれるので、飲む物に困ったら、ぜひつくだ氏との会話も楽しみながら決めてほしい。

 ちなみに取材当日は藤枝の紅茶を頂いた。


 この紅茶は、中国で紅茶の茶葉の栽培技法を30年以上学んだ方のものだった。普段飲む紅茶とは甘味が全く違い、お砂糖を入れなくても少し甘味がし、和菓子と非常によく合う。もちろん、無化学肥料、無農薬。

ビールとの相性抜群「酒粕 焼きかりんとう」

 薫風で提供しているかりんとうは2種類。

 「酒粕 焼きかりんとう」と「醤油粕 焼きかりんとう」だ。

 取材当日は「酒粕 焼きかりんとう」を頂いた。この「酒粕 焼きかりんとう」は一見、かりんとうとは思いもよらない見た目だ。

 一般的なかりんとうは濃い茶色で棒状なのに対し、薫風のかりんとうはボーロのような見た目だ。だが、一口食べると、お酒好きの人はこの形であることに嬉しさ感じるだろう。

 まず、甘くない。そして塩気とピリっとした山椒の風味を感じる。 一つ食べると二つ目、三つ目とと手が止まらなくなるのだ。そして片手にはビールが欲しくなる。一袋に7つ入っているのだが、一瞬にしてなくなってしまった。

 おやつのイメージが強いかりんとうだが、お酒のおつまみにぴったりな一品だ。塩はフランス・ブルターニュの海塩を使用。挽きたての黒山椒があとを引く辛さを与えてくれる。

 かりんとう好きな人にはもちろん、お酒好きの人にもぜひ試して頂きたい一品だ。

一見変わった薫風の「酒粕 焼きかりんとう」を求め、お酒片手に千駄木の街を散歩する週末も良さそうだ。

[box title=”お店情報” box_color=”#003a13″]店名:薫風(くんぷう)

住所:東京都文京区千駄木2-24-5 1F

定休日:月、火(土日不定休)

営業時間: 13時30分~19時00分[/box] [gmap address=”東京都文京区千駄木2-24-5″]

本山智男
株式会社SweetsVillage 創業者。 3度の飯よりスイーツが好き。お菓子屋さんの取材を50件以上実施。様々なスイーツの企画にも携わり、スイーツの商品開発などにも携わる。