長く親しまれる老舗「新宿中村屋」の愛される秘密を大公開

純インド式カリーや中華まんが人気の新宿中村屋ですが、実はお菓子も人気。昔ながらの伝統菓子から新感覚スイーツまで幅広いラインナップです。そこで今回は、新宿中村屋の歴史や人気メニューをご紹介しましょう。

新宿中村屋はどんなお店?

新宿中村屋は、明治34年創業の老舗食品メーカーです。現在は全国の駅ビルや百貨店などの直営店で、お菓子などを中心に販売しています。

NHKの朝ドラ「なつぞら」に登場した川村屋は、新宿中村屋がモデルなのではないかと話題になったのを覚えている方もいるのでは?また2020年6月には、アド街ック天国の「東京でカレーのおいしい街ランキング」内で新宿は第2位となり、その中で新宿中村屋が取り上げられました。老舗でありながら、現在も注目され続けている新宿中村屋。そんな新宿中村屋の歩みをみていきましょう。

新宿中村屋の歴史

新宿中村屋のはじまりは、東大の正門前で営業していた「中村屋パン」というパン屋さんでした。創業者は相馬愛蔵・黒光夫妻です。菓子パンの定番「クリームパン」は、新宿中村屋の創業者夫妻が、シュークリームをヒントに編み出したものなのだそう。クリームパンの生みの親だったとは驚きですね。

独創的なパンを次々考案する中村屋パンの売り上げは好調でした。しかし当時売上高を少なく申告することは商売人の常識だったなか、正直な2人は売上高をごまかすことなく伝えていたため、莫大な税金に苦しめられることに。

そこでさらなる売り上げアップを目指し支店を出すことにしました。白羽の矢が立ったのが、現在の新宿あたりだったといいます。その当時新宿付近はみすぼらしい街でしたが、愛蔵は将来性があると感じたのだそう。現在の新宿の様子を見ると、その目論見は当たっていたことになりますね。

新宿中村屋が新宿に支店をオープンさせたのが明治40年。かなりの売り上げを達成し、新宿支店は現在の新宿中村屋の場所へと移転しました。この移転がきっかけで、新宿中村屋は和菓子の販売に乗り出すことになったのです。

お客様に選ばれる和菓子を作るため、手始めに上質なもち米を使用した賃餅をリーズナブルな価格で販売。これによりもともとの中村屋のお客様に「中村屋の和菓子は上質だ」と印象付けることに成功し、和菓子の販売はうまくいきました。

新宿中村屋が洋菓子を手がけるようになったのは大正9年。次の年にはロシアパンの製造も手がけるようになりました。このころの日本は食文化が様変わりし、洋食屋洋菓子が広がりつつあったのです。

新宿中村屋は大正12年、さらに業績を伸ばし株式会社となりました。この頃から新宿も大きく様変わりし、百貨店や大型店が次々進出するように。客足はこういった大型店にとられ、小売業者は打撃を受けたと言います。

こうした状況を打破するため、純喫茶のオープン、営業時間の延長、腕のある技術者をやとうなど新宿中村屋は新たな策を次々打ち出しました。昭和2年には現在でも新宿中村屋を代表する商品「純印度式カリー」「月餅」「中華まん」を開発。こうした策が功を奏し、新宿中村屋はさらに売り上げを伸ばすことに成功したのです。

第二次世界大戦の時期には物資不足となり、思うように商品を提供できなくなってしまいます。そこで誕生したのが「カレーパン」です。その後新宿中村屋は、東京大空襲の際、全て燃えてしまいました。

しかし昭和23年、ビルを直して営業再開にこぎつけ、その後従業員たちの奮闘もあり、新宿中村屋は復活を遂げました。どんどん業績を伸ばす新宿中村屋は、徐々に全国に販路を広げていきました。

 大阪で開かれた万国博覧会への出店を機に、新宿中村屋の知名度はさらに上昇。創業者夫妻をモチーフとしたテレビドラマや小説もできるほど注目度は大きかったそうです。

 昭和54年には、変化する時代に合わせ、本店の愛称を「シェモア」とし、利用する人のニーズに合わせ幅広い用途に対応できるよう、本店を改装。この頃から、外食産業やコンビニ業界にも参入を始めました。

近年も、お客様の多様性に合わせ新宿中村屋は変化し続けています。それと同時に昔からある商品をさらにいいものへと発展させる努力も怠っていません。伝統を守りつつ常に進化し続ける姿勢が、新宿中村屋が長年愛され続ける秘密なのかもしれませんね。

純インド式カリー誕生秘話

新宿中村屋が「純インド式カレー」を生み出したのは1927年のこと。新宿中村屋本店のキャッチフレーズ「恋と革命の味」が生まれたのもこれがきっかけだったと言います。純インド式カレーの販売が始まった6月21日は、恋と革命のインドカリーの日としているのだそう。遊び心があって素敵ですね。

現在ではどこでも食べられるインド式カレーですが、その当時まだ日本ではかなり珍しかったそうです。ではなぜ新宿中村屋で、純インド式カリーの販売に至ったのでしょうか?

それは創業者夫妻の娘がインドの独立運動家であるラス・ビハリ・ボース氏と結婚したことがきっかけだったのだそう。愛蔵氏も本物を提供することにこだわりました。しかしその当時、なかなか納得のいく食材が手に入らなかったといいます。そこで愛蔵氏は自社の養鶏場や牧場を作り、自分たちの手で納得のいく食材を揃えたのだそうです。こうした努力が実り、純インド式カリーは現在でも愛される新宿中村屋の代表メニューとなったのです。

新宿中村屋の人気メニューは?

新宿中村屋では、時代に合わせた新しいスイーツから昔からある定番メニューまで幅広いスイーツメニューを揃えています。そのなかから特に人気のメニューをご紹介しましょう。

月餅

新宿中村屋の定番メニュー「月餅」は、創業者夫妻が中国に視察旅行へ出かけた際に見つけたものでした。この月餅を日本人の舌に合わせて改良を加え、「和菓子の月餅」に仕上げたのです。中国の月餅よりも見た目が美しく脂っこさの少ない新宿中村屋の月餅は人気商品となり、現在では定番商品として多くの人に愛されています。

新宿中村屋の月餅は、ゴマとくるみの風味が香る小豆餡と、たくさんのフルーツや木の実を合わせた木の実餡の2種類あります。
8コ入 1,275円〜

水ようかん

水ようかんはプラスティックの容器に入ったものが今は主流ですが、以前は缶に入ったものがほとんどでした。この缶入りの水ようかんを初めて作ったのが新宿中村屋だったそうです。

缶入りの水ようかんを開発するきっかけとなったのが、大正14年に百貨店が新宿に進出してきたことでした。これにより新宿中村屋は打撃を受け、その打開策の一つとして、夏に水ようかんを販売することを思いついたのだとか。

でも水ようかんは崩れやすく日持ちもしません。そこで水ようかんを缶に入れて販売することにしたのだそう。新宿中村屋の、水ようかんを缶詰にする技術は、昭和13年に特許も取得したのだそうです。

さらにこの水ようかんの開発は、その後のババロアの缶詰やコーヒークリームゼリーの開発にも生かされたと言います。

涼しげでつるんとした食感の新宿中村屋の水ようかんを、ぜひ味わってみてくださいね。

あんまかろん

マカロンとおまんじゅうをかけあわせたような新感覚のスイーツです。マカロンのようなカラフルでポップな見た目ですが、中にはクリームと餡が入っており、和を感じさせる味わい。小ぶりで食べやすく、ちょっとしたお礼や手土産に利用しやすそうですね。

フレーバーは 木いちご、ちょこ、抹茶、れもん、紫いもの5種類。外側の皮はマカロンのようにサクッと軽い食感で、中はしっとりとしています。「ちょっと変わったお土産を持参したい」というときにもおすすめです。
5コ入 648円〜

かりんとう

かりんとうは明治8年ごろから日本でも食べられるようになりました。庶民の味といった印象の強いかりんとうですが、これを高級菓子に格上げしたのが新宿中村屋です。

新宿中村屋がかりんとうの販売を開始したのは大正8年頃。新宿中村屋のかりんとうは、それまでのかりんとうの「固く脂っこい」というイメージを一新する、さっくりと柔らかな食感と黒砂糖のコクのある味わいでした。これによりかりんとうは贈り物にも利用されるようになりました。

現在でも新宿中村屋のかりんとうは、さっくりとした軽い食感とコクのある味わいは変わりません。袋入りのものとギフトにぴったりな缶入りのものがあります。
袋入り324円〜

アイリッシュケーキ

それぞれの素材の風味を堪能できる、しっとりとした食感のパウンドケーキです。フレーバーはフルーツ、チーズ、マーブル、抹茶、レーズンの5種類です。個包装なので、何人かで分けたいときにも重宝しますね。
8コ入1,167円

■フルーツ
4種類のドライフルーツが入っており、フルーティーで奥深い味わいです。

■チーズ
濃厚なチーズの風味を楽しめます。

■マーブル
カカオの苦味とブランデーの香りがアクセントとなっており、大人な味わいです。

■抹茶
抹茶の程よい苦味と香りを感じる生地に大納言小豆を混ぜ込んだ和の風味を感じられるケーキです。

■レーズン
レーズンの他にリンゴやナッツも入っており、色々な食感を楽しめます。

新宿中村屋の地域限定商品は?

新宿中村屋では、首都圏限定商品も販売しています。東京土産にいかがでしょうか?

新宿カリーあられ

中村屋特製のカリースパイスをふりかけたあられ菓子です。スパイシーでパンチのある味わいなので、若い方へのお土産にも喜ばれそうですね。小袋に分けられており、何人かで分けたいときにも便利です。
8袋入556円〜

東京月餅

新宿中村屋の伝統菓子「月餅」に現代アートのようなデザインを施した東京限定の月餅です。こちらは羽田空港限定商品です。
8コ入 1,275円〜

生月餅

どら焼きのようなもちもち食感が特徴の新感覚の月餅です。中の餡は小豆とゴマの2種類となっています。
5個入756円〜

新宿中村屋の通販は?

新宿中村屋の商品は、公式オンラインショップでも購入可能です。なお地域限定商品の一部も購入可能ですよ。缶詰入りのカレーも購入できます。

オンラインショップで通販する
nakamuraya.jp/

新宿中村屋の店舗情報

新宿中村屋本店は、現在「新宿中村屋ビル」となりました。新宿中村屋系列の店舗のほか、ブランドショップなども入っておりショッピングも楽しめます。ぜひ足を運んでみてくださいね。新宿中村屋のショップは、世界の料理を楽しめるレストラン「グランナ」、お菓子やパンなどを購入できる「ボンナ」、中村屋を代表するメニューを楽しめる「マンナ」の3つ。それぞれ営業時間などが異なりますので、確認してから足を運んでみてくださいね。

店舗情報
店名:新宿中村屋ビル(マンナ)
住所:東京都新宿区新宿三丁目26番13号
営業時間:11:00〜21:00(L.O.20:30)※2020年11月現在時短営業中
定休日:無休